●ラッチングリレー駆動計画 Latching relay drive circuit





 実験中のものと実験前の構想が入り混じっているので整理するページ。自分自身で如何に都合良く使えるようにするかが前提なので、他所様がご覧になっても参考になるとは限らない。また、編集中に付き今後も内容は逐次変わっていく。





古いメモにあった回路



 以前こんな回路を考えたことがあったようだ。実際に採用しなかったのは、受信時にも消費電流があることだろうと思う。





 メモの図を眺めていて…この構成ならば半導体に頼らなくてもラッチングリレーを駆動出来るような気がする。(要実験)
 無線機の送受信の切り替えに使うのであれば、モーメンタリのスイッチを使えば実現できそう。送信状態で電源を切っても、次に電源を入れるときにはリセットされる。はず。





 ラッチングリレーを採用した回路を設計する際には、電源を切るときにRESETされるか、電源投入時にRESETしなければ都合が悪いことが起きる事もある。工夫が必要。




2019.07.11追記






現在、3種類入手してある。

左 NRSLD-3V 高感度 1巻1c
中 DS2E-SL2-12V 高感度2巻2c
右 DS1E-ML2-DC6V 標準2巻1c



1巻線の駆動回路


今回入手したリレーのスペックの一部
コイル
定格電圧
セット電圧 リセット電圧 定格
励磁電流
コイル抵抗 定格
消費電力
コイル
インダクタンス
最大連続
印加電圧
最大連続
許容電力
DC3V DC2.0V以下 DC2.0V以下 33.3mA 90Ω 100mW 0.037H DC9.0V 1000mW


 このリレーを駆動する電力量はいかほどのものなのか?NRSLD-3Vのコイル抵抗は100Ωなので、例えば3本のエネループ(1900mA/h)で連続駆動した場合、36mA/hと仮定して50時間ほどで電池が空になってしまう。一方駆動するときだけ電流を流した場合、データシートには”動作時間約1ms”と記載があるので、敢えて数字にするなら36mA/ms程で足りる。
 同じ部品を使っているのに、駆動する方法によって前者は100mW/hで後者は100mW/msということが起きる。リレーの通電時間が短くなれば発熱量が減るのもありがたい。
 参考までに、このNRリレーのシングルステイブルタイプは81mA/37Ω/243mW





【元ネタ】
 駆動する時間だけなら非常に少ない電力量となるので、上手に使って恩恵にあずかりたい。
 ラッチングリレーを駆動する回路だが、オムロンのマニュアルに面白い事が書いてあった。全く頭のいい人がいる。このままコピーするのでは芸がないので、無い知恵を絞って考えねば。


【データシートを当てにせず最低限必要な電力を見つけ出す。】
 試しに…実験用電源でセラミックコンデンサを充電し、そのコンデンサでリレーのコイルに触れると…動く。もう一度充電して、今度は向きを反対にして触れると…動く。思わず声を出して笑ってしまった。


●どんな回路にするか

(A)2回路2接点のスイッチでラッチングリレーを駆動する基本的な回路。
(B)Cを充放電する間だけ電流が流れるので少電力化することが出来る。
(C)スイッチをFETに変更。
(D)FETをロジックに変更。

 ロジックでリレーを駆動する場合ドライバーを入れるのがセオリーだと思うが、ソケットを使えば簡単に交換が出来る上に非常に安価なので、ロジックをドライバーにする計画。実験して壊れないならそれで良しということに。

 Cの必要最低限の容量がわかったところで、無謀にも(B)の回路にてNRSLD-3Vを12Vで駆動しても壊れなかった。これも面白い現象。




3Vのリレーと6Vx2のリレーを
5Vで駆動中
【実験中のラッチングリレー駆動回路】
 コンデンサの容量で消電力量が変わることになるが、、消費電力を減らすことに目が眩んで”カリカリチューン”し、実装後に”温度でコンデンサの容量が変化してリレーが動かない”という事が無いように注意したい。
 
【実験中の駆動回路】
 TC74HCU04を使って5Vで実験中。74HCU04の出力電流の最大値が±25mAなので並列で駆動している。
 マルチバイブレーター部は手持ちの部品の関係で1秒程でH/Lしている。
 年単位の長期な実験に耐えたなら、自信を持って活用していきたい。









もっとシンプルに



【ハーフブリッジの実験】
 フルブリッジの耐久テストは続けているが、左図のような回路を思いついたので準備している。こちらのほうがオムロンの回路に近い。
 U1の出力がHiの時にコンデンサが充電されて、出力がLowになればコンデンサの放電でリレーをリセット出来るだろうし、リセット時に電力消費がない分フルブリッジよりも省電力と言う目算。
 







セット状態(コンデンサに充電された状態)でロジックの電源を切ったら?

 トレラント機能がないロジックの出力にはDiが入っていたはず。従ってコンデンサに残っている電力はロジックのDiを通じてVccに流れるはず。壊れることはないと思う。うまくRISET状態に戻ってくれるなら良いが…。
 トレラント機能なんて意識したことなどなかったが、私の手元にある5VのロジックのTC74HC04には出力側にトレラント機能が無かったと記憶しているので、リレーがセット状態でロジックの電源を切ったらCの電流はVccに流れ、結果リセット状態になると予想している。


■これについての解決策
ダイオードを追加すれば、セットの電源がOFFになった瞬間にコンデンサからVccに電流を流れてRLがリセットされる。はず。
(トレラント機能の無いロジックで、あまりVFの高いDiを採用するとIC内のDiに流れてしまうので”常識的な範囲”でVFの小さなDiを採用した方が良いと思う。)




何らかの理由でセット状態でコンデンサが放電されたままになっていたら…

 この回路(ハーフブリッジ)を採用した場合、強制的にリセットする回路は無いので、電源を入れた時に一度セット・リセットする必要がある。(1つのロジックにこの回路を複数採用場合はロジックのIccを超えないようにしなければならない。ソフトで対処すればいいだけの話か…。)
・追記 今時の乗用車のメーターパネルのイニシャルチェックのような演出のように見せるのも洒落て見えて良いかも知れない。俗に言う”儀式”のようで嫌いではない。








2巻線の駆動回路



現在3種類のラッチングリレーを入手している。

左 NRSLD-3V 高感度 1巻1c
中 DS2E-SL2-12V 高感度2巻2c
右 DS1E-ML2-DC6V 標準2巻1c

【2巻線のDS1E-ML2-DC6V】
 接続は左図のようになっていて、①〜⑥間を倍の12Vで駆動すれば1巻線と同じように使える事は実験して確認した。

本題に入る。
 2巻線のラッチングリレーの場合は押す力と引く力を同時に発生させれば、もっと低い電圧(少ない電流)でも動作するのではないかという考えが浮かんだ。



 DS1E-ML2-DC6V は最低動作電圧は定格の70%4.2Vだが、直列時はどうなのか調べてみる。
 実験用電源を使って1-6ピンに+ーを入れ替えながら電圧を下げていき、どの程度まで動くのか試してみた。徐々に電圧を落としていくと4Vまでは大きな音で動作したが、3Vではか弱い音しかしないというところまでは確認できた。2つのコイルを同時に使う効果はとても大きいようだ。
 コイルの抵抗値は@100Ωなので直列接続した状態(200Ω)での消費電流は、計算上5Vで25mA、4Vで20mA、3Vで15mAとなる。



実験の結果から

 ラッチングリレーは永久磁石で状態を維持する構造になっているが、可動部の重さと磁石の磁力のバランスなどから中間の位置に出来ないような構造と思えた。故に、維持されている側の磁石の力より僅かでも強い磁力を発生させれば、可動部(接点)は他方に向かう…。それを裏付けるような実験だったと思う。

 状態が変わってしまえばそれを維持し続けるのだから、シングルスティブルリレーのように電圧が下がっても状態を維持できなくなることは無いので、高い電圧のリレーでも状態を変えられる最低値の電圧を与えれば良いと分かった。












秋葉原の有名店で売っている”ラッチリレー”



 先日知人と会った際に、秋葉原の有名店で売られている安価なラッチリレー(ラッチングリレーと検索したら出てこなかった)が話題になった。
 コイル抵抗は130Ω(実測)と書かれているので、コイルのマイナス同士を接続して直列にすれば、消費電流は計算上20mA以下になるのでロジックで直接駆動可能な範囲になる。



 共同購入したNRSLD-3Vと違ってケースが防磁構造になっていない。このようなプラスチックパッケージのリレーをRFで使用するために、薄い銅板でシールドを実施された方は多いと思う。安価なオムロンのG6Vだったか?が手に入るようになる前に流行った方法で、たしか1200Mhzマニュアルかモービルハムに掲載された記事にあったものだったと記憶している。このリレーも同じ方法で使用できるのではないかと思う。








ロジックよりも高い電圧のリレーを直接駆動する構想。






【駆動コイルを並列接続】
 今度はリレーのコイルを並列に接続する。12V〜24Vクラスのリレーになると消費電流も少なくなるので、並列接続のほうが有利だと思う。
 5Vで駆動した場合、カタログデータから12Vのは13mA×2、24Vのが3mA×2ほどと計算できるので、ロジックで直接駆動できる範囲だと思う。


 正直なところ24Vの物が動くのか分からないが、12Vのリレーが3Vで動いたのだから可能性は有ると思っている。


 2つのコイルを別々に駆動する手もある。少なくとも直接並列接続することによる破損の可能性は無くなる。コイルの接続方向に注意。12Vのリレーを5Vで駆動するときなどに良いのではないだろうか…。

 受信機のBPFの切り替えにダイオードスイッチを採用する予定だったが、12Vのラッチングリレーに変更する方向で検討する。どれか1個のリレーしか駆動しない回路には良いと思える。

 ダイオードスイッチは常時数mAから数十mA食うが、ラッチングリレーを採用するとその分を無くすことが出来る。
xx240も同じように使えるだろう。





 74xx4051でVEEを-7V位にすればVCC-VEE間が12Vになるので、これまでの経緯から48Vのリレーも駆動できるかも知れない。
 VEEが必要になるのは都合が悪くなるケースのほうが多いと思うが、そうでないこともあるだろうからメモとして残す。

もう少しで消費電流が1mA/msを割り込むかな?
VEEを作らなくてもTC4S69/TC4SU69なら電源電圧が20Vまで扱えて、Ioが+12mAと−9mAという規格になっている。
 これまでの実験結果から、24Vや48Vのリレーのコイルを並列接続すれば12Vで駆動出来るのではないだろうか。











他のロジックを使う




【74LV1GWU04A】
 74LV1GWU04A(おそらくディスコン)を使ってみる。TC7SU04FUと同じ大きさだと思うが、Ioが±25mA(MAX)のインバーターが2個入っていてTIだとSN74AUC2GU04(供給中)と互換かと思う。。
 並列にすれば1個でラッチングリレーを1個駆動できるようになる目算。小型化するのに一役買ってくれるだろう。





【74xx00・74xx04・74xx14 etc】
 これまで74HCU04で実験していたが、74HC00 74HC04 74HC14でも同じ結果になると考えている。なによりも、手元に有る部品で実現できるということが重要。

 本来のセオリーから外れた使い方をすることだし、メーカーごとに若干規格に違いもあるようなので、データシートなり規格表を改めて確認したいところ。


 74HC14でも実験してみようと思っていたところ、TC7S14の共同購入のお誘いがあったので参加して入手した。老眼が進む中、未だ拡大鏡程度でハンダ付けに挑んでいる身としては、届いた製品を見て項垂れてしまった。そろそろ顕微鏡が欲しいと思う今日このごろ。




【74xx240/74xx244】
 インバーターじゃなくてバッファでも同じようなことが出来る。これは盲点だった。無論バッファだけでフルブリッジは組めない。
 入手した74VHC244Fの出力電流最大値は±25mAある。製品にもよるがHC240/244には最大出力電流値が±35mAだったり最大電圧が8Vにも及ぶデバイスがあるもよう。


 xx240を丸ごと1個をリレーの駆動に使ってもいい。少なくとも100mAクラスのリレーは駆動できるので、POWER-MOSFETを使うよりもコストは低いし、xx04よりも基板のパターンが作りやすい。




注意しなければならないのはIccと言う項目で、電源/GND電流(全体で流せる最大値と解釈している)を越えられないのだから、35mA流せるゲートが8個あっても280mAも流せるわけではない。クドい…な。









ラッチが外れてステータスが変わるのを防ぐ

 ラッチが外れてステータスが変わると言う事例は、殆どが振動によるものだと想像する。そもそも振動が多い場所に敢えてラッチングリレーを使う設計に賛否両論あると思うけれど、電力の消費を抑えれるとなれば電源が電池やバッテリーの時こそラッチングリレーを使いたいし、そういうシュチュエーションこそ振動が多いと思う。ラッチングリレーを振動から守るような工作的な話題は別の機会に譲るとして、回路での対処を考える。


 差し当たり駆動電流を常時流せばラッチが外れても元に戻るが、それならシングルステイブルリレーを使う方が回路が簡単。手元にあるものだと同型のシングルスティブルリレーとラッチングリレーでは、ラッチングリレーの方が連続駆動しても消費電流は少ない傾向がある。そう滅多に起こることだとは思わないが、保険として?ステータスが変わる可能性を減らすための方法を考えてみる。



 Rを1本追加する。流す電流が小さくてもラッチを強化出来るだろうし、ラッチが外れても復帰すると想像する。流す電流が大きければその影響も大きい。よってこの回路の場合、Rの値は”さじ加減ひとつ”ということになる。
 実験もしないで出てくる数値とは思えないが、壊れそうなほど振動を与える実験もしたいとは思えない。

 ハーフブリッジの駆動回路でもRを追加することで同じ機能を期待できる。

 また、シングルステイブルリレーにも応用して最小駆動電流だけ流し続ければ消費電力を減らすことが出来そう。(シングルステイブルリレーは消費電力が大きいので注意)
 逆起電力の問題やDiの必要性については個別に対処すれば良いと思う。





 たとえ駆動電流を流しておいても壊れそうな程の衝撃を与えたら、瞬間的に接点が離れるのは100%防ぐことは出来ないと思うので、程度問題ということで解釈した方が精神衛生上良さそう。





とんでもない勘違い



 これまで手探りで実験を繰り返している中で大きな勘違いをしていることに気づいていた。それによる破損が起きていないことと今のところ何方からも指摘を受けていない事で、ノートの片隅に書いただけになっていた。そろそろ検証したいと思う。




 私は実験用電源にコンデンサをつないで充電し、リレーにコンデンサをつなぐことで最低動作電圧の確認をした。しかし、リレー・コンデンサ・電源・スイッチが接続した状態での電圧の確認をしていない。無論テスターなどでは確認できない。
 (B)(C)(D)はフルブリッジなのでリレーにかかる電圧は、電源とコンデンサに充電された電力がプラスされて”およそ”になる。はず。

 電源電圧が5Vの場合、コンデンサが充電してしまえば10Vで動くリレーを駆動できるのかも知れない。(12Vのリレーのカタログ上の最小電圧はクリアしているし、私の実験では3Vでも動いた)
 これまでに実験した結果から、12Vのリレーはそのまま動くものが多そうだし、12V超えのリレーで特に2巻線のモノは接続方法を工夫するだけで、そのまま動作してしまうものも有りそうだと思える。



 そこで疑問に思ったのは、(D)の回路において、駆動しているロジックの最大規格を遥かに超えているのに何故壊れなかったのか。(1年間ほど実験に使った基板は分解して他に流用してしまったが、ロジックもリレーも他の実験で動いているので破損に至っていないことは分かっている)
 通電時間が非常に短いことで壊れなかった可能性が一番高いと思っている。大きめの容量の電解コンデンサを選んでいたら、瞬殺で実験終了となっていた可能性もある。プラスマイナスが逆になるので、電解コンデンサを避けてセラミックコンデンサを選んだと記憶しているが、偶然選んだセラミックコンデンサの容量やリレーコイルの抵抗値等が壊れずに済んだ要因になったのかも知れない。




2019.7.11追記





【停電時 LAN 自動切り替えシステム】2019.8.25
 自動でLANを切り替える方法を考えてみた。停電時に携帯電話も使えなくなったら…。という想定で、電源が5VのONUとPocket Wi-Fiで接続出来るようにする。(付近一帯のWi-Fiも落ちていると考えれば、混信がない分遠くまで届く可能性も…)

 例によって要点が分かればいいと思ったので、バッテリーの充電回路などは省略している。

 敢えてラッチングリレーを使わなくても良い話だけれども、シングルステイブルリレーでは常時電源を消費する。9個分なので、常に2〜3Aほどの電源が必要になるが、もしかしたら…のために延々消費させるのは少々もったいない。