●74xxU04 Balanced Modulator・Mixer 計画

74xxU04 バランスドモジュレータ・ミキサー







実験中のものと実験前の構想が入り混じっているので整理する。

自分自身で如何に都合良く使えるようにするかが前提なので、他所様がご覧になっても参考になるとは限らない。また、編集中に付き今後も内容は逐次変わっていく。

元々アイディアとしてはあったものの、以前知人の集まりでフロントエンドの話をしていた時に、「最近の流行りはスイッチ」だと言われた辺りから火が付いたのかも知れない。

可能な限り”手元にあるもの・一般に入手出来るデバイス”で構成する。雑誌の記事や他人の発表したものを丸ごと真似してデバイスの入手に翻弄されることもなく、リペアするための”予備”を抱えて置かなくても良い方法を考えたい。





 U1の出力がHになるとマルチバイブレーターの発振が止まる。



 U2はアナログアンプだけれど、U1のOUTがHの間はU2のOUTはLに固定されるのでスイッチとして使える。便宜上OFFの状態と呼ぶことにする。



 AGCを追加して時定数を設定すれば1個のICでノイズブランカを完結できそう。
 実際には、C-MOSを多段接続すると遅延でノイズの頭をブランク出来ない可能性が出てくるので、ノイズブランカのゲート(スイッチ)部にだけ使うのが良いのではと考えている。(実際には位相が1周遅れたものをブランクすれば良いので、効果がある範囲もあるということになるか…)


 周波数を変換するのはスイッチと言われた事があるが、とても分かりやすいと思った。例えば、1KHzの音声を10KHzにするなら10000回スイッチすれば良いのだと…。


 その結果、10KHzに±1KHzの音声が出てくる。





ノイズブランカーのゲートに使わる回路だが、これもデューティ50%の信号を入れれば立派なミキサーになる。実際にCBのnあsあにもミキサー兼ノイズブランカーのゲートとして採用されているのを回路図を見せてもらって確認した。この回路を見てxx04のミキサを思いついた。
 このミキサーもIFとLoを入れ替えれば平衡変調が可能かと。キャリアはDiを抜けた後にトランスで打ち消し合うので、トランスの2次側に出てくるのはDSBということになる。
 Diに各々反対向きのDiを並列接続すればLoの2倍の周波数で変調することが出来そう。逓倍変調器。




【打ち消す・打ち消し合うということ】
 昔ステレオに取り付ければボーカルが消えるというカラオケマシーン(左右の同じ音を打ち消す)があったが、あれと同じ考えかただと思えば分かりやすいかも知れない。ステレオの出力の両方のプラスを1個のスピーカーのプラスとマイナスにつなぐとボーカルが消えてしまうアレ。あれが打ち消し合うということ。と理解した。





HCU04 xxU04 インバータでシングルバランスドミキサ



【スイッチするならミキサに】
 逆相を組んでやれば…Loはトランスで打ち消し合うので理論的には2次側には現れない。ゆえにシングルバランスドモジュレータが成り立つ。はず。

 ロジックを使ったこの手の情報を改めてWebで探しても全く見つからない。悲しいかな所詮(しょせん)素人が考えたことなので、”発想の限界”と言うか”想像力の欠如”と言うべきなのか、都合の悪いことは後から出てくると思うが、それはそれで対処することを楽しみたい。
【キャリアサプレッション】
 どの程度まで抑圧できるか分からないが、両方の信号のレベルが等しくなればNullに追い込むことは出来る。はず。
 あまりにもNullのレベルが高いのは、入出力の結合や別ルート等の原因を考えたほうが良いと思う。Diで作った時もキャリアのオーバーレベルやシールドの問題が原因だったことが多い。
 キャリアバランスで漏れ量を調整すれば、AMやCWへも応用可能と思える。

 NB Gate機能も併用可能だと考える。ヘビーデューティな1'st Mixerに採用するのは無理かもしれないが、NBの併用も含めて工夫すれば便利に使えそうな予感。


 スリーステートやNANDなどを使えればもう少し簡単になりそうだけど、私の知る限りデバイスにアンバッファーの選択肢が無いので、素直に4066を使うのが懸命。これは、実験の予定無し。(CWやFMには使えるかも知れない)
【入力トランス】
 件の回路には入出力にトランスが必要だが、変調をかけるのにオーディオ用の高価なトランスを使うのは有り難くないので、代わりになる差動入力の方法を考えなければならない。あまり複雑にすると有り難みも無いし、余計に電源を食う傾向が強くなる。
 折角ポストアンプ無しで良さそうなところに辿り着いたのだから、手前のMICAMPで平衡(差動)出力出来る構成にして部品点数も増やさないで済むようにしたい。


 74HCU04だけで完結する場合は位相反転部のGainを1にすれば良いと思う。少々部品点数は増えたが許容範囲と思いたい。やっとモノになりそうだ。ただし、MICAMP部については信号が無い時に貫通電流が流れないか不安がある。

【お仲間からの提案】
 トランスの代わりなら、トランジスタで差動増幅を組めば?と知人から提案があった。xxU04で完結するという条件がなければ”方法の1つ”なんだが…。いっそのことトランジスタ3個でSBMを構成した方が簡単…w



 今回の回路はLoに方形波(矩形波)を積極的に使おうと思っているので、出力トランスを同調型にした方が意図しない高調波等を少しでも減らすことが出来そう。
 よく考えてみたらICのDBMの場合(私は殆どSN76514N)は同調式にしたことはあるけど、Di-DBMではやったことがない。アクティブ素子とパッシブ素子の差なんだろうか?私には詳しいことは分からないが、雑誌などを真似て作り始めた頃に”そういうもの”として覚えてしまったのだろう。
【入出力インピーダンスの測定】
 先日お仲間に教えていただいたのだが、入出力のインピーダンスはVRを仮の負荷として測れるとのこと。入力側は最大出力になるように、出力側は無負荷の半分の電圧になる抵抗値を測ればいいらしい。簡単だw彼も受け売りとのことw

 全く頭のいい人がいるものだ。

 DiのDBMよりも大きい出力が得られるのでポストアンプは無くて良いと思う。後段との干渉を防ぐためなら入れるのも有りだと思う。







 マイクアンプ・平衡変調・プロダクト検波・キャリアOSCまでを1個の74HCU04でまかなうことも出来る。これで送受信完結しているのだから、ミニマムでなら決定版にも思える。
 実際の設計の際には、クロストークの心配があるので送信用と受信用のデバイスは分けるか、使用しない方を”OFFの状態”にした方が良さそう。






構成部品は、全て一般に入手可能な汎用のモノで構成出来る。
xxU04 74HCU04が一番ポピュラー。制限は増えるが4069という手もある。
私が生きている間位はディスコンに悩まされることはないだろう。
Di 高周波で使えそうなスイッチングDiなら何でも1N4148でも何でも。(もしかすると、Diの特性で性能が変わったりする可能性もあるので、後々…以下省略)
トランス FB101・FB801・FT25-43等結果オーライな方向で。
無ければ少々大きくなるがパッチンコアもOK。
バーアンテナに巻くのは磁束漏れが不安だが不可能ではないはず。
C・R・VR 手元にあるもので。


 困ったことにLTSpiceで74HCU04のシミュレートがうまく出来ないまま数カ月も時間が経ってしまった。このアイディアが浮かんだのは半年も前のことだが、この八方塞がりの状態を打開しなければ実験の準備が先に進まないので、いよいよ周囲の電子工作好きな方々に尋ねてみたのだが、何方もHCU04のモデルは持っていないとの事だった。致し方ないので手探りで実験を進めることにする。




 AHCU04を使いきって手元に無いので、相当品(伝搬遅延時間)として74LV1GWU04Aを使うことにした。

 コアはFB801かFT37-43でもいいけれど、折角小さく出来るのだから、手持ちで一番小さなのを使う。
 直径2mm長さ3mm程度なので、トリファイラで4〜6tとなれば手持ちではΦ0.08mmのワイヤを使うことになるだろう。



パッケージコードJEITAコード
74SU04F・ SSOP5-P-0.95SOT-25SC-74A
74SU04FU・74LV1GWU04A SSOP5-P-0.65A SOT-353SC-88A



 HCU04はユニットが6個あるので便利だが、高周波を扱う上で配線が長くなるので不利になる。いや、長くなろうが障害にならなければいいんだろう。最終的に如何に平衡化できるかが腕の見せ所?結果オーライというのが正解か…。
 74LV1GWU04Aは、この実験をするためにあるのじゃないか?と思えるような構造をしたデバイスで、非常に期待をしている。


 変換基板にハンダ付けしようとして…老眼が進行していることに気づいた。これならブレッドボード(以下BB)上でも使える。2.54mmのピンピッチよりも部品のほうが小さい…。

 DIPだと少々工夫しないとBB上で1列足りなくなるかな?
 フラットパックに変換基板を使えば変換基板上にも部品を載せられるので、特に高周波だとありがたい時が多い。





HCU04 xxU04 インバータでプロダクト検波


 この回路はトランスが無いと平衡を取れないのが最大の欠点。復調に使用すると出力がAF(オーディオ)なのでトランスは大きい物になってしまう。トランスの代わりにOP-AMPを使うのもアリだとは思うけれど…。もっとスマートな方法はないか?



正直なところ平衡かそうでないか私には聴き分けることは出来ない。分かるものなのか?
 私には平衡でなければならない理由は思い浮かばないので、シングルエンドで実験を進めることにする。






回路の変更


【Mixerとして】2019.4.29追記
 出力に入れているコンデンサを撤去したら…?平衡が成立しなくなってLoが筒抜けになるかと思ったが、Loに対してはU1・U2とも同時に動いているのだから理論的には出力されない。はず。一方IF信号に対しては、各々が反転/非反転した動作になるため、オーディオアンプなどで用いられるBTLと同じ動作なので出力の電圧は2倍(電力で4倍)になると考えることができる。



【変調器として】
DSB(SSB)ジェネレーターの決定版を目指して…。
 省スペース優先ならxxU04のみで良いのだが、性能優先ならOP-AMPで反転/非反転増幅…と思ったものの単電源で構成すると部品点数が非常に多くなるので、トランスを用いた方が…以下省略。




回路の変更 2

2019.8.1追記
【ノートにあったメモから】
 随分前に知人が作ったキットの回路をメモさせていただいたものだったと思う。改めて眺めてみて、何故これで変復調出来るのか不思議に思った。当時は理解することが出来なかったようで、メモだけが残っている。もう一度考察してみる。

・等価回路
 NXPのデータシートをダウンロードしてみた。pin1とpin2に同相の信号を入れたら出力が得られるはずがない。しかし、実機を見てしまっているので…。
【無い知恵を絞って…。】
 もし▲のコンデンサーが音声帯域でのインピーダンスが十分高いのならば、MIC入力はpin1には入力されずpin2だけに…と考えることができる。非常によく考えられた回路だと思う。MIC入力が高い周波数になるとコンデンサーのインピーダンスが下がってきて逆相が発生し、その分で打ち消し合うことになるので、ローパスフィルタとしての役割も果たしているかもしれない。
【真似てみる。】▲のコンデンサーは、音声帯域でのインピーダンスが高い前提で。
 キャリアは両方に入力されるので出力トランスの2次側に出てこない。
 変調器としては、MIC入力から入った音声信号は上側のロジックに入ってスイッチされるので変調信号が出力される。逆相が無い分出力は小さそう。
 検波器としては、IF INに入った信号はロジックでスイッチされて…以下省略。入力側のトランスに高価な音声用を必要としないのが有難い。が、出力がブリッジ接続ではなくなるのは少々惜しい。
赤:キャリア/青:変復調信号

 まとめると、キャリアは出力で打ち消すために逆相が必要だが、変復調する信号は打ち消す必要が無いので両側に存在する必要は無いということになる。


-------------- 入力トランス撤去 ----------------
 こんな回路で良いのではないだろうか…。図の出力側は共振回路になっているが、フェライトビーズを使うなら共振コンデンサも撤去する。
 部品点数は十分少なくなったし、ディスコンに悩まされることもないだろう。